髪のこといろいろ
年齢とともに髪が細くなったり、クセが強くなったり、艶がなくなったり...そこにはちゃんと理由があります。
髪の毛は爪や肌の角質層と同じ「ケラチンタンパク質」でできています。全体で約10万本生えていて、一本の髪の寿命は女性で4〜7年、男性で3〜5年といわれています。そのため一日平均で50〜150本くらいが自然と抜け落ちています。
そして、身体と同じで骨にあたる部分・肉にあたる部分・皮にあたる部分から成っています。パーマ・カラーで薬剤が反応するのは肉の部分です。枝毛などは、皮の部分が剥がれてしまい内部の繊維質同士が引き裂かれてしまった状態です。また、カットした毛先は傷口と同じです。かみそり等でカットすると傷口が大きいのでタンパク質等を流出させやすくなってしまいます。
骨にあたる部分のこと
肉にあたる部分のこと
皮にあたる部分のこと
シャンプーのこと
シャンプーとは、髪の毛や頭皮の汚れを落とすものです。簡単なほこり汚れであれば湯洗で洗い流すことができますが、整髪料、汗、皮脂などの油の性質を持ったものはお湯だけで流すことはできません。なので、この油性のものを落とすために大抵のシャンプー剤には「界面活性剤」なるものが入っています。この「界面活性剤」とは、「水」と「油」の境界部に集まり、これらを分離してくれるものです。作用としては乳化、洗浄、浸透、分散と働いてくれます。なので、水分のない所にシャンプー剤がついても刺激にこそなりますが汚れを落としてはくれません。湯洗をしっかりしましょうというのはこのためです。
界面活性剤のこと
シャンプー剤に使われる界面活性剤としてはマイナスイオンを持つアニオン界面活性剤とプラスイオンとマイナスイオンの両方を持つ両性界面活性剤があります。
アニオン界面活性剤としてよく使われるのが石鹸系、高級アルコール系、アミノ酸系のものです。石鹸系の特徴は、洗浄力はありますがphが高いため皮膚への刺激性があります。またパーマやヘアカラーなどの薬剤は酸性(phを下げて)にして仕上げますので、保ちを悪くします。また水道水中のカルシウムなどと結合、残留し髪の毛を硬くしてしまいます。高級アルコール系の特徴は洗浄力も高く泡立ちも良いのですが、炭素が多く含まれています。高級とつく理由としてはメチルアルコールやエチルアルコールよりも炭素数が多いからで、そのためか目に対する刺激も強いようです。アミノ酸系の特徴は、低刺激ですが洗浄力、泡立ちも他のものに比べあまり強くありません。そして、なにより高価です。
両性界面活性剤を使用しているシャンプー剤で有名なのが、ベビーシャンプーです。低刺激で目にも刺激が低いのが特徴です。その他、最近はベタインとゆう表記で粘度や発泡性を増加させる目的でアニオン界面活性剤使用のシャンプーに混合されていることが多々あります。
トリートメントのこと
一般的にトリートメントとよばれているものには、油脂類やコンディショニング成分としてタンパク質(アミノ酸類)などが配合されています。これらの成分は、大抵40°〜50°の融点が設けられています。よって、塗布するだけでなくある程度熱を与えてあげることで、より髪の内部への浸透がよくなります。また、表面を油の膜で覆いシャンプーに配合されているアニオン界面活性剤とは逆に水分を吸着させる性質をもったカチオン界面活性剤によって水分を強くつなぎ止め静電気の発生を抑え柔らかくしっとりと髪を落ち着かせてくれます。
また、コンディショニング成分としてシリコン等を配合することによって紫外線や熱などから髪を保護してくれます。
毛髪のダメージのこと
髪の毛のダメージには大きく物理的な原因と化学的な原因があります。
物理的な原因とは過度な刺激(ブラッシングなど)や熱、紫外線などによるものです。
化学的な原因とはカラーやパーマの薬剤によるものです。
大概どちらもキューティクルの損傷から始まり、保護機能を失った状態から内部の栄養分などが流出してダメージを負った損傷毛になってしまいます。
後述しますがカラー剤やパーマ剤はphをコントロールして髪の毛に変化を与えます。phとは、アルカリ性・酸性といった水溶性の性質を図る指標です。1〜14まで値があり、真ん中のph7が中性です。
髪の毛は弱酸性値で安定しているのですが、アルカリに傾くと柔らかく不安定な状態になります。日本の水道水の平均的なphは7.8で弱アルカリ性なので濡れたままで放置するということは、髪の毛を柔らかく不安定でダメージを受けやすい状態にしているということです。
白髪のこと
白髪はメラニン色素を生み出す細胞や酵素が働かなくなり、メラニン色素を含まない状態になった髪の毛です。
原因としては、加齢・遺伝・ストレス・病気・生活環境などさまざまなものが考えられます。加齢など自然に白髪になったもの以外は、その原因を解消することでまたメラニン色素を含んだ黒い毛髪に戻る場合もあります。
特徴としては、毛髪内部のメラニン色素が欠損しているため比較的キューティクルが厚くなっている場合が多いです。前述のとおりキューティクルが毛髪の硬さを占めているので黒い毛髪より硬くなっているのも特徴です。なので、白髪だけがツンツンと飛び出してしまったり、親油性の部分が多いことでテカテカと光ってみえたりするのです。
また、カラー・パーマなどの薬剤も浸透しづらくなっています。
脱毛のこと
脱毛は大きく分けると髪の毛が寿命を全うして抜ける自然脱毛とそれ以外の異常脱毛があります。
自然脱毛とは前述の通り女性で4〜7年、男性で3〜5年の周期のヘアサイクルを終えて生えかわる時期の脱毛です。
そのヘアサイクルを全うできずに抜け落ちてしまうものが異常脱毛です。
異常脱毛としては、壮年性脱毛症・加齢性脱毛症・粃糠性脱毛症・びまん性脱毛症・円形脱毛症などが考えられます。
ヘアサイクルのこと
ヘアサイクルとは、それぞれの毛髪が生まれて抜け落ちるまでの周期のことをいいます。
生えかわった毛髪は4〜7年かけて成長していきます。これを成長期といい毛髪全体の85〜95%を占めています。次に退行期といい2〜3週間かけて毛乳頭(毛髪を作る部分)が毛髪を作る作業をやめた状態になり、そして休止期といい毛乳頭が休止している時期を数ヶ月迎えます。退行期から休止期にかけて毛髪は毛穴の中で毛乳頭からきり離されている状態なので、外部からのチカラにより簡単に抜け落ちてしまいます。ここで抜け落ちなかった毛髪も次に毛乳頭が活動し始めて新しい毛髪を作りだすと下から押し出されるように抜け落ちていきます。
この過程を踏まえて抜けたものが自然脱毛です。
異常脱毛のこと
壮年性脱毛症(男性型脱毛症)
男性ホルモンが過剰になり脱毛をひき起こします。遺伝による影響が大きく、ホルモンにより脂漏性(脂質)過多になっている場合が多いです。
加齢性脱毛症
毛乳頭の衰え、血行障害、毛細血管の減少などによりヘアサイクルが乱れ脱毛をひき起こします。
粃糠性脱毛症
頭皮が乾燥性になり過度のフケ症であることが多いです。原因としては、皮脂の分泌異常、胃腸障害、ビタミンAの不足などが考えられます。
びまん性脱毛症
原因としてはホルモン異常や身体疾患、過度なストレス、過剰なダイエットによる栄養の偏りなどからひき起こされるもので、局所的ではなく全体的に毛髪が痩せ細り薄くなりボリュームがでなくなるのが特徴です。
円形脱毛症
一時的な脱毛の場合が多いが、眉毛・睫毛・髭・体毛まで抜ける悪性脱毛症にまで進展することもあります。基本的にストレスや欲求不満などからくる交感神経緊張や免疫力の低下が原因と考えられています。また、遺伝的なアレルギー体質(アトピー)だったり高血圧だと血管が収縮しやすく円形脱毛症をひき起こし易いと考えられています。